
幼い頃の私は、人とコミュニケーションを取る事が苦手、ピアノを弾いている時間だけは自分の空想の世界で安らげる‥そんなとてもシャイな少年でした。その頃から、日本の文化、習慣、生活に興味を持っていましたが、黒澤明監督作品には衝撃を受けました。特に芥川龍之介の『藪の中』をモチーフにした『羅生門』では、同じ出来事でも人によって捉え方がいかに異なるかという事に気づかされ、考え方が広がりました。
私達演奏家のゴールは、作曲家の意図を可能な限り表現する事だと思っています。素晴らしいアーティスト達は、同じ作品の中にそれぞれ異なった美しい解釈を見出します。そして、演奏家自身の偽りのない感情と作曲者の意図が共鳴し合う事によって紡ぎされる音楽は、まさに「物語」のようなものだと思うのです。
ストーリー性溢れる作品を通して、私自身の音楽世界を皆様と分かち合えたら‥そんな想いでバッハ、ショパン、シューマン、ドビュッシー、そしてガーシュウィンによる作品を選びました。どの作品も鮮明で壮観な物語が広がっています。皆様も物語の参加者となって共有して頂けたらと思っています。
2010年1月西本智実指揮ラトビア国立交響楽団との全国ツアーの熱も冷めやらぬ2010年3月、ウォニー・ソン新譜CDプロジェクトは動き出しました。
「演奏家の偽りのない感情と作曲者の意図が共鳴し合うことによって紡ぎだされる音楽は、まさに『物語』のようなもの」と語るウォニーらしく、
都内コンサートホールでの長時間に及んだ収録では、細部にまで全神経を集中させ、それぞれの楽曲に込められた物語を描き出していました。
