CONCERT REVIEWS

Metro Pulse (2012年1月25日掲載)

エドワード・カミング、モーツァルトの世界を巧みに表現

2012年1月19日、20日 テネシー劇場
指揮: エドワード・カミング ピアノ: ソン・ヨルム  ノックスヴィル・シンフォニーオーケストラ 

~(前略)~

 この日の最大の注目は、韓国出身の若きピアニスト、ソン・ヨルムが加わり、観客を圧倒させたピアノ協奏曲第21番ハ長調の演奏だろう。第二楽章、アンダンテは1967年のスウェーデン映画「エルヴィラ・マディガン」のテーマ曲として一気に有名になったとされるが、今日聴いた演奏には映画への親しみよりも、曲そのものが持つ息をのむような美しさに感動を覚えた。
 コンサートの成功に大きく貢献した25歳のヨルムは、今最も注目されるピアニストの一人。2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール第2位、そして昨年行われたチャイコフスキー国際コンクールで第2位の受賞歴を持つ彼女は、確かなテクニックだけでなく、多彩な表現力を合わせ持つ。
複雑な楽節でも彼女の手にかかれば不思議とシンプルに、そしてエレガントに美しく表現される。晴れやかで小気味良いリズムのアンダンテとは対照的に、フィナーレでは突然のテンポ変更、木管楽器の掛け合いにより生まれるピアノとオーケストラの贅沢な響きに惹きこまれ、まさに興奮そのものだった。

~(以下略)~

Star-Telegram (2012年1月26日掲載)

ソン・ヨルム、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール50周年記念リサイタルで熱演

2012年1月25日 ダラス美術館ホーチャウ・オーディトリウム

 1962年に初めて開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールも今年で50周年を迎えた。これを記念したリサイタルが昨夜25日ダラス美術館で開催された。主催者であるクライバーン関係者のアイデアは、過去のコンクール課題曲をプログラムにするというものであった。ソロ演奏の最終関門となるセミファイナルで出場者がこれまでに与えられてきた難曲7曲を一夜にして演奏するという内容である。
 この特別なリサイタルに栄えある演奏者として選ばれたのは、2009年の同コンクールで2位入賞を果たしたソン・ヨルム。(同年の)コンクールでも見事な演奏で聴衆を魅了した彼女だったが、今回のリサイタルでも一曲一曲違った表情をみせ、難曲揃いの7曲を全体のプログラムとして華麗にまとめ上げた。全ての曲において、入賞者にふさわしい演奏を披露し、改めて彼女の類まれな技術と才能を再認識させられた。

以下が演奏された7曲である。  

N・デロ・ジョイオ:“カプリチオ”(1969年課題曲)
不協和音の中での柔軟性のある演奏が印象的で、特に叙情詩調の楽節は非常に魅力的であった。
アーロン・コープランド:“夜想”(1973年課題曲)
この楽曲は、アーロン・コープランドが書いた最後の作品集の一つであり、徐々に静けさを伴っていく哀愁満ち溢れた演奏は、 コープランドが表現したかった“憂愁”を考えずにはいれなかった。
サミュエル・バーバー:“バラード”(1977年課題曲)
活気に満ち溢れた箇所もあり、感傷的で叙情的なメロディーを見事に表現した。
レナード・バーンスタイン:“タッチズ”(1981年課題曲)
ジャズの要素を上手く取り入れ、リズミカルな演奏で聴衆を大きく魅了した。
ジョン・コリリアーノ:“オスティナートによる幻想曲”(1985年課題曲)
少し短調気味に始まったが、ベートーヴェンの交響曲第7番が引用された部分をはじめ、演奏が進むにつれ聴衆も深くひきつけられていった。
ウィリアム・シューマン:“チェスター”(1989年課題曲)
古い讃美歌調の演奏が非常に魅力的で、讃美歌の枠にとらわれない演奏も披露した。
ウィリアム・ボルコム:“ピアノ・デュオのための9つのバガテル”(1997年課題曲)
バガテルという曲名が示すとおり、“軽妙さ”がある楽曲で、曲自体の分数も短く、覚えやすい旋律であった。

会場は満席。演奏後、ヨルムは聴衆からスタンディングオベーションと鳴り止まない熱狂的な拍手を浴びていた。

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