

この5年余り、クラシック音楽に興味を持つ人は増えたのかもしれない。しかし、どうしても聴きたい演奏家の数は極端に減った。そんななか、ユーリ・シモノフがいることは、ぼくにとっての救いだ。今年67歳、これからますます凄みのある音楽を聴かせてくれるはずだ。
シモノフが指揮するロシア音楽には 、大地の香り、凍てつく空に舞い散る雪、五臓六腑にイナヅマが走るような強い酒を煽り、千鳥足で歌い踊る大男たちの嬉しげな顔と、哀愁を誘う背中……ここには書ききれないロシアの森羅万象が克明に描かれているのだ。
加えて、シモノフという人間のもつ器のでかさ。ロシアのオーケストラのなかでも抜群の若さを誇るモスクワ・フィルが、彼の踊るようなタクトに合わせ、心の底からあふれでる幸福感を奏でるライヴ空間に身を浸すと、聴いているこちらも「生きててよかった」と思えてくるのだ。
そんなシモノフとモスクワ・フィルが日本で3年ぶりにオール・ロシア・プログラムのコンサートを開く。チャイコフスキーの「スラヴ行進曲」に「1812年」、ソフトバンクモバイルのTV-CMなどでおなじみになったプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」――これぞ王道という曲目で格の違いを見せつけてくれるだろう。
この秋、何をさしおいても行きたいコンサートに決定だ!
音楽ライター 長野隆人

イングリット・フジコ・ヘミング &
スミ・ジョー&
天満敦子 &