


昨年の来日で、客席を文字通りに熱狂させたソプラノ、スミ・ジョー。ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院で教授陣を昂奮の渦に巻き込んでから20余年、巨匠カラヤンをも魅了した彼女の薫り高い声音は、今もまったく衰えぬままである。その息をもつかせぬコロラトゥーラの技と、柔らかな美感にあふれるレガート唱法は、いまや独自の高みを築き上げ、昨年のパリでのリサイタルなど、各媒体の評が、どれも絶賛につぐ絶賛となっていた。
そのジョーがこの秋に再び日本を訪れ、オペラ史に耀く〈「四大」狂乱の場〉をいちどきに披露するという。まさに、これまで歩んできたベルカント・オペラの道のりを、自分で再検証し、さらに高い境地へと引き上げたいという、彼女の決意のほどが伺える一大プログラムである。
まずは、キャリアの初期にロンドンの聴衆を感動の渦に巻き込んだ《清教徒》から、婚約者の逃亡に心乱れるエルヴィーラのアリア、次いで、ニューヨークやパリの客席を呻らせた《ランメルモールのルチア》からは、政略結婚の犠牲者ルチアの狂乱の名場面、そして、相手役のロックウエル・ブレイクが感動のあまり、彼女を抱き上げてバレエのように一回転したという、アミーナの悲嘆から目覚めにかけての大フィナーレ(《夢遊病の女》)といったイタリアの三大名曲に加えて、今回は、王子の心変わりに翻弄される哀れなオフィーリアのソロ(《ハムレット》)という、フランス・オペラ随一の名旋律まで歌い上げるジョー。これ以上贅沢かつ意欲的なステージは、想像するのも難しい!

2007年12月10日 スミ・ジョー

プログラム:
■ベッリーニ:<清教徒>より エルヴィーラの狂乱の場
Elvira's Mad scene (Act II) from <I Puritani> by Vincenzo Bellini
A. <清教徒>よりオーケストラ組曲
Orchestra Suite from <I Puritani>
B. エルヴィーラの狂乱の場ー〈あなたの優しい声が〉(第2幕)
Elvira's mad scene - 'O rendetemi la speme …. Qui la voce sua soave'
■ドニゼッティ:<ランメルモールのルチア>より ルチア狂乱の場
Lucia's Mad scene (Act III) from <Lucia di Lammermoor> by Gaetano Donizetti
<ランメルモールのルチア>よりオーケストラ組曲
Orchestra Suite from <Lucia di Lammermoor>
ルチア狂乱の場ー〈あの方の優しいお声が聞こえる〉(第3幕)
Lucia's mad scene - 'Il dolce suono mi colpi di sua voce! …. Ardon gl' in censi'
■ベッリーニ:<夢遊病の女>より アミーナの狂乱の場
Amina's Mad scene (Act II) from <La Sonnambula> by Vincenzo Bellini
<夢遊病の女>よりオーケストラ組曲
Orchestra Suite from <La Sonnambula>
アミーナの狂乱の場ー〈ああ、私はお前がそのように早く萎れるのを〉(第2幕)
Amina's mad scene - 'Oh! Seuna volta sola …. Ah! non credea mirati …. Ah! non giunge uman pensiero '
■トマ:<ハムレット>より オフィーリアの狂乱の場
Ophelia's Mad scene (Act IV) from <Hamlet> by Ambroise Thomas
バレエ組曲'La fete du Printemps'よりメドレー
Medley from Suite “La fete du Printemps”
オフィーリアの狂乱の場ー〈皆さんのお仲間に入れてください〉(第4幕)
Ophelia's mad scene - 'A vos jeux amis''
※やむを得ず曲目が変更となる場合がございます。予めご了承下さい。